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素敵な女性目指します٩(๑❛ᴗ❛๑)۶

素敵な女性を目指す大学生のブログ。日々思うこと、読んだ本、メイク、ファッションなどについて綴ります。

原田マハ『太陽の棘』

今回は本の感想です。

 

読んだのは原田マハさんの『太陽の棘』。

 

太陽の棘 (文春文庫)

太陽の棘 (文春文庫)

 

 



原田マハさんは『暗幕のゲルニカ』で直木賞にノミネートされたりして最近注目されている作家さんですよね。

『暗幕のゲルニカ』はまだ読んでいないのですが、私は以前『ジヴェルニーの食卓』を読んで原田さんの作品に魅せられました。

 

原田さんの作品はとても読み易く、それでいて考えさせられること、感じられることが多くあります。

『ジヴェルニーの食卓』や『楽園のカンヴァス』は芸術がメインテーマなのですが、原田さんの画家や作品への愛の籠もった文章のおかげでピカソやモネなどの巨匠をすごく身近に感じ、読んですぐに彼らの作品を観に美術館に行きたくなります。

 

 

 

 

今回読んだ『太陽の棘』も芸術がテーマではあるのですが、描かれているのは有名画家ではなく、戦後の沖縄で芸術への情熱を燃やしながら逞しく生きたニシムイという集落の芸術家とアメリカから沖縄に派遣された若い軍医たちとの交流を描いた実話を基にした作品です。

 

 

戦後間も無くアメリカから軍医として沖縄に派遣された24歳のエド。

休日に軍医の仲間とドライブしていて偶然ニシムイ村にたどり着き、そこでタイラをはじめとする画家たちと交流する。

もともと美術に興味のあったエドは彼らと共にスケッチすることが最高の息抜き、楽しみとなり、彼らの間には深い絆が結ばれる。

 

 

ただ、時にはぶつかり合うこともあって、エドが戦後生きていく為に米軍とも折り合いをつけて暮らしている沖縄人、タイラたちの誇りを傷つけるような発言をしてしまったシーンはとても印象的。

 

やはりどんなに仲良くなったって、彼らには勝者と敗者、支配者と被支配者、持つ者と持たざる者という決定的な違いがある。それが鮮明に浮き彫りになった瞬間。

 

 

 

でもそれでもお互い想いあっていれば、そして芸術への情熱という共通点を持っていれば必ずわかり合うことができる。

 

 

 

この作品の大きな魅力は何と言っても登場人物たち。ニシムイ村の画家たち、アメリカの軍医チームのみんな、エドの家族など、どの人も魅力的で素敵な人ばかり。

 

私は特にエドとは軍医仲間のアランが好きでした。
穏やかで優しくてユーモアがあって…
アランとエドが別れなければならない時は私も一緒に悲しくなってしまったくらい。

 

 

この本に出てくる人と人との繋がりを考えると、自分の人間関係の希薄さに気付かされる。
相手の嫌なところも知った上で受け入れて、本当の意味で人と関わる。

現代の人々は自分も含めて、便利な世の中で生きているせいでまるで自分が一人で生きているような錯覚を持っている人が多いと思う。
一方、戦後の沖縄の人々は金銭や物質的な問題でも、精神的な問題でも人々は支え合う仲間が居なければ生きていけなかったのだろう。

戦後の沖縄のような過酷な状況に戻らなければならないようなこと(戦争や天災)は絶対に起こって欲しくないけれど、私たちは自分の非力さや周りの人間の大切さを今一度考えてみるべきかもしれない。

 

そんなことを考えさせられる一冊でした。